NPO法人の解散
このページを御覧になっている方は、多分今運営しているNPO法人を継続すべきか解散すべきか迷っているのでしょう。事業の不振や会員の高齢化等理由は様々でしょう。しかしNPOは公益目的の団体であるため、私的目的で子供に相続させるわけにはいきません。また他人への売却もままならないため、どうすることもできないまま休眠に至るケースが増えています。そんな時は解散させるのがベストです。解散って大変ではとお考えでも、専門家に任せれば最短2か月ほどでNPO法人を抹消閉鎖させることも可能です。せっかく設立したのだからもったいないとお考えでも、今後一生続くさまざまなトラブルを思えば、断捨離の一環として処分することは今後の人生にきっとプラスになることでしょう。
捨てることでまた新たな何かが生まれることもあります。
NPO法人が解散に至った理由11選
あなたはNPO法人を設立してから生じる様々な問題にぶつかったことはないでしょうか?。団体をNPO法人化すれば何か良い事がありそうで、成り行きでしてみたものの、あまりメリットが無いまま今まで来てしまった。普通のボランティア団体(任意団体)とどう違うの、なんて疑問も感じているはずです。
確かに法人名義銀行口座を作ることが出来るメリットはありますが、団体名+代表名でも口座は作れるのでそれほどの利点とも言えません。そのためボランティア団体をNPO法人化したあと、活動休止で放置されている事例がかなり見受けられます。
今まで100件以上のNPOを解散してきた当事務所で解散に至った理由を調査してみたところ、以下のケースが多いようです。
①会費も会員も思うように集まらなくて常時資金不足。最初の思惑も大きく外れて無活動に。
②メンバーみんなの仕事が忙しすぎ、何となくボランティアどころではなくNPOを放置。
③引っ越しや転職で活動仲間と疎遠になり、気が付いたらNPOも放置していた。
④仲間同士で意見が対立してケンカとなり、そのまま会員も理事も音信不通。
⑤メンバーがみな高齢化してそろそろ終活として「NPOじまい」したい。
⑥活動もしていないのに毎年の事業報告書の提出が面倒。放置していたら裁判所から過料命令が来た。理事の重任登記(2年ごと)もサボっていたら過料命令まで来た。どうすればいいの。
⑦収入がほとんど無く、理事長からの持ち出しばかりでNPOの維持そのものが大変だ。
⑧理事長になったばっかりに自宅に地方税の納付書が毎年送られてくるようになった。活動もしていないのにNPOの税金をポケットマネーで毎年納めるのは大変だ。
⑨理事長が死亡又は他のメンバーが離散して活動不能に。事務長一人残された。
⑩NPO法人を設立したのは良いがそのまま全てを放置。解約した元法人本部事務所になんだか書類が届いているみたいだけどどうすれば良いの。
⑪新型コロナの影響でNPO活動が完全に停止し、再開の目処が立たない。会員もどうしているのか不明。
このような状態になったNPOを放置しておくと理事が裁判所から呼び出し命令を受けたり高額な過料請求が届くなど面倒を起こします。やはりNPO解散を考慮すべきでしょう。そうしませんと一生に渡り理事全員の時間や金銭が奪われる可能性があります。実は法人の中でもNPO法人は維持管理が難解な部類に入ります。むしろ株式会社や社団法人、合同会社の方が運営自体は簡単です。ボランティア団体はあえて法人化しないで任意団体として運営する方法も今後は検討すべきでしょう。
次に休眠NPOのデメリットをご紹介します。
休眠NPOを放置した場合の罰則
活動停止NPOまたは放置してある休眠NPOの罰則が列挙されています。全てではありませんが一番多いものを少しご紹介します。
罰金その1
NPO法人は毎年度末に管轄の都道府県(権限移譲なら市町村役場)に1年間の会計報告書と活動報告書を提出する義務があります。これをしませんと裁判所から50万円以下の罰金が課せられことがあります。年度報告書は都道府県(または市区町村)ごとに厳密な書式があり、少しでも異なると不受理になります。
罰金その2
NPOの役員(理事)は任期が最大2年間と法律で固定されており延長できません。よって就任したら1~2年ごとに役員を別人に変えるか同じ人が再度就任する重任登記を法務局に行う必要があります。これは社員総会又は理事会できちんと決議し地元の法務局へ役員変更登記申請という形で行う必要があり、さらに登記が完了したらそれに関する届出を都道府県(または市区町村)に出す義務もあります。これをしないで裁判所から50万円以下の罰金が課されたNPOがあります。
罰金その3
通常NPO法人がただ有るだけで何もしていなくても、そのNPO法人本部事務所のある都道府県の法人地方税がかかります。毎年減免申請をしていなければ固定額毎年7万円となり、無視していると理事さん達に延滞税を含めた納付書が届く可能性があります。
罰金その4
平成24年(2012年)4月のNPO法改正で、理事長がNPOの代表を務めるNPO法人は理事長以外の理事の代表権登記を抹消する必要が生じました。これを怠りますとやはり20万円以下の過料がかかります。この手続きは令和になっても行う必要があります。
罰金その5
平成30年(2018年)10月からすべてのNPOは貸借対照表を官報で公告する義務が生じました。官報公告はかなり費用がかかります。(3万円~4万円)やはり行わないNPOには20万円以下の過料が科せられます。官報掲載を避けるためには法人ホームページを開設してそのこに会計関連書類を掲載しますが、そのためには定款を変更する必要があり、この手続きが都道府県に申請してから2ヶ月以上かかる面倒なものとなります。
休眠NPOを再開した場合の罰則
何とか活動を再開したい。そんな会員の思い反映させて休眠NPOを再開した場合、思わぬ落とし穴がまっています。それは再開したとたん上記罰金1~5が課せられる可能性が高いのです。活動再開したのだから会費等の収入があるのだろう。そんな論理で過去の未実施手続きに対して罰則が適用されてしまいます。ただでさえお金がないのにそれに追い打ちをかけるように罰金を支払うはめに。泣きっ面に蜂とはまさにこの状態を言うのでしょう。
NPO解散によるメリット
都道府県(市区町村)に毎年提出する報告書が不要になります。また法人税を減免するための手続き、2年ごとに行う必要がある役員の再任手続きなどがなくなります。理事の変更(交代、退任、住所氏名の変更等)手続きも不要になります。もし会計関係を税理士に委託している場合は、この毎月の費用、決算月の確定申告費用もなくなります。しかし一番大きいメリットは、様々な手続き事務から開放され、管轄庁から督促状や過料命令の文書が届くのではとびくびくしないで毎日暮らせる精神的開放感が大きいと思います。
NPO解散手順概要
では解散の流れを簡単に簡単に見てみましょう。
①NPO解散は最初の段階として社員総会を開催し、会員の多数による解散決議が必要です。会員がたとえ1人しかいなくても総会を開催し、日付と時間を記録します。決議に必要な人数は定款に定めた数となります。1人しかいなければ一番簡単で、その人が解散と決めれば解散になります。一般的には満場一致が多いようです。
この総会で清算人を選任します。定款で理事が清算人となると特別に定めている場合は3人程度になりますが、そうでない場合、清算人は1人でOKです。よってほとんどのNPOは理事長が清算人となります。総会議事録には議事録署名人が2人必要となります。家族や友人になってもらいましょう。
NPO法人の役員任期が切れている場合はそのままでは解散出来ません。理事を3人を選任し、理事長を選んでから解散する必要があります。
理事長が死亡、行方不明または辞任している場合もすぐに解散できません。解散のためには事前に理事長を就任させる準備が必要となります。この場合は理事3人全員の個人印鑑証明書が必要です。
その後官報に解散に関する公告を掲載します。官報公告は当事務所に依頼した場合はNPO側で行う必要はありません。
②第二段階としてNPO法人閉鎖があります。これは全て当事務所が行います。正式には結了ともいいます。この手続きを行うことでNPO法人は完全にこの世から抹消されます。
③最後に当事務所から法人閉鎖証明書をお送りします。これを持参して地方税の事務所に行き、法人が閉鎖した届けを提出します。届出書1枚出すだけの簡単なものです。もし非営利だけでなく営利事業も行っている場合は税務署や市役所にも法人廃止届を提出します。この手続きは清算人がしない場合は税理士に依頼できます。これで税金納付書が送られてこなくなります。
これが解散までの一連の流れです。
活動中のNPO解散
総会で解散を決議しますとその日から法人が清算法人と呼ばれるようになります。よってNPO法人がまだ活動中の場合は解散できません。また解散には貯金も借金も無い状態が必要です。活動中では金銭の入出金が確定しませんので解散はできません。よって解散する場合はNPO活動が完全に休止している時を狙って下さい。もちろん長年活動休止しているNPO解散が一番簡単です。
都道府県(市区町村)へのNPO活動報告書
NPOは毎年都道府県(または市区町村)に活動報告書を出す義務があります。提出時期は事業年度の終了時期で異なりますが、報告書を全く出しませんと数万円の過料請求がきてしまいます。特に長年活動休止していたNPOが解散した場合、地方によっては解散日までの過去の数年分報告書を全て出して欲しいと言われる事があります。そうでない都道府県では解散日を含む年度の分だけを出せば良いと言われることもあります。
いずれにしても報告書を出しませんと解散後でも過料請求が理事宛に届く可能性があります。よって休止中でも報告書は数字ゼロ、活動なしでも毎年出しておいた方が賢明でしょう。事業年度が4月1日で解散決議が5月1日ですと1ヶ月分の活動報告書を提出するように言われる事もあります。
ご自身の管轄する役場(都道府県又は市区町村)に良く確認して下さい。
NPO解散手続きを代行依頼する場合必要なものと流れ
NPO解散手続き代行ご依頼またはNPO解散相談の場合は最初に「相談メール」からメールをお送りください。相談は無料です。匿名でも相談できます。
その後解散ご依頼決定の場合解散依頼書をお送りします。わかる範囲で記入し、理事長さまの個人印鑑証明書1通と定款を同封して当事務所まで書類を郵送して下さい。書類到着後すぐに解散事務に着手いたします。
ご依頼は解散総会開催前でも後でもご依頼可能です。総会前の場合は解散総会開催予定日を記入してくださればその日に合わせて書類をお送りします。総会の日に会員さまから押印をいただけるので手続きが円滑に進むと思います。この場合は少なくとも総会開催予定日の3週間以上前に解散依頼書が当事務所に到着するようお願いします。
NPO解散手続きで必要になる書類
解散手続き代行ご依頼予定の方はご用意ください。
①理事長さまの個人印鑑証明書・・・1通(送付時点で発行3ヶ月以内のもの)
理事長が行方不明又は死亡等で別の方が理事長になる場合は別途メールでご相談ください。解散前に準備手続きが必要となります。
②NPO法人定款(印刷されたものを郵送又はPDFメール添付でも可)。紛失した場合はメールでお知らせ下さい。内閣府や都道府県のホームページからダウンロードできる場合があります。
場合により必要なもの
必要に応じて当事務所からご連絡いたします。
以下は法人の手続担当者が用意しておく必要があるものです。当事務所に送る必要はありません。
但し手元ですぐ使用できるようにしてください。
①NPO法人印(法務局に届け出てあるもの)
②NPO理事長の個人実印
解散公告について
定款に官報に解散公告する旨の記載があるNPO法人は官報に解散について官報公告をする必要があります。官報公告に関しても代行をしております。別途料金がかかりますが官報販売所へ支払う掲載料分36,000円しか頂いておりません。
当事務所に解散代行依頼した場合にかかる費用
料金は5万円から7万円です。詳細は料金表を御覧ください。手続き期間はおよそ3ヶ月から4ヶ月程度となっています。当事務所でNPO解散に関するほとんど全ての手続を代行します。但し、法人閉鎖後に必要となる税務署や県税事務所への法人廃止届は理事長さまが行って下さい。どうしても自分でやりたくない方は税理士にご依頼下さい。また閉鎖後に都道府県(または市区町村)へ提出する必要があった未提出の事業報告書の作成提出は代行しておりません。各NPO側で提出してください。
解散公告も依頼した場合はプラス36,000円が追加で発生します。
ご依頼はメールでお願いします。原則として解散依頼者は解散対象法人の理事長を予定しています。後のトラブル防止の対策のためNPO無関係者からの解散依頼には応じることができませんのでご注意下さい。
設立してから10年以上何もしていません。解散出来ますか?
NPOは設立から2年ごとに役員を重任して登記する必要があります。10年間なら5回申請する必要があります。10年以上これをしていない場合は一度ご相談下さい。
決算上(簿価)法人に債務がありますがどのようにしますか?
通常理事長がポケットマネーをNPOに出している場合がほとんどなので、債権を持つ方の債権放棄書があれば大丈夫です。債権放棄書は当方で作成します。
理事長並びに他役員又は会員が死亡又は行方不明の場合でも解散できますか。
理事が1人でも生存している場合はその方が総会を開き、解散手続きを行うことができます。役員が全滅している場合は、NPO会員が集まり、新たな清算人を選出して解散の手続きを開始できます。役員が全滅し、かつ会員の一部が死亡又は行方不明の場合は残存会員が集まり、清算人を選出します。役員も会員も全滅している場合は相続人の方が手続きできる場合があります。ご相談下さい。
定款がありません。
内閣府のホームページ又は管轄都道府県のホームページで法人名を検索すると定款がアップロードされている場合があります。その定款をダウンロードしてメールでお送り下さい。それすら無い場合は都道府県(又は市区町村)役場でコピーします。それすらできない場合はご相談ください。
決算書に財産150万円がありますがどのように処分しますか?
資産がある場合は解散後の精算期間内に財産から債務(借金)の支払を行います。またこの財産の中から解散に必要な手数料等を支払います。支払を全て行い、最後にまだ債務がある場合は債権者に債権放棄をしてもらうことです。逆に財産が余った場合は都道府県や国に譲渡となりますが、この譲渡の手続が相当ややこしいので総会等で使い切るのが賢明です。
NPO法人印(法人代表印)がありません
理事長さまが法務局に新たなNPO法人印を登録する必要があります。法人印は直径18mm程度の物が慣例で使用されています。最低でも10mm以上の直径が必要です。ただ解散のためだけにNPO法人印を作成するのは面倒という方は、ご自分の実印がこのサイズであればをNPO法人として登録することも可能です。また、わざわざ法務局に出向かなくても印鑑届出書を法務省のホームページからダウンロードして押印し、郵送で送ることもできます。方法はご相談下さい。
定款もNPO法人印も無く、理事が全員死亡しています。事務担当者に裁判所から警告が届いていますが、どうすれば解散できますか?
残存会員が集まり、新理事を3人、監事1人を選出します。その後当事務所にご連絡ください。